2018-08-28から1日間の記事一覧

だれかがまおうになる

俯いた首のまま声を嗄らすことをしてはいけなくて、ならば顔を上げればと思いながらも、そうすること敵わず。首を絞められたような、手の皮膚の感触。波打つ指紋はきめ細かに並んでいて、その規則性が気持ち悪い。 手の平から汗が流れる。そして目玉からは涙…

撫ぜらう

身体を曲げる嗚咽に脳みそをふるわせていると彼は笑った。 いつも笑っている。目を見上げると、怖がるようにでもなくまた笑った。にこにこしている。してるだけだ。そいつは逆光のなかで不敵に笑う。 何だろうなお前は、と彼がいう。私は頷いた。私にも解ら…