水面のゆがみに顔を映し、

水面のゆがみに顔を映し、己の顔の愚かさに笑った。

楽しそうだね、と彼が傍らで言う。楽しいことなんて、と私は返し、何もないよ、と彼を見返した。

 

殺してえなぁ、と彼の背中を見ながら思う。それはもう、腹が立つほどに。やめておいてはいるのだけれど、どうなのだろうかなあ。

私が彼に挑戦したいのは変らない。だから何時この、どうなのだろうかなあ、とという気持ちが変わるかは解らない。

殺したいかどうかなら、やっぱり殺してしまいたい。

 

彼は、歩き回る私の世界であり戦場だ。

いつなんとき命を落とすか解らない。いつなんとき命が落ちるか解らない。

彼も私も、命はナイフにブッ刺してあって、それが抜けたとき、二人の、死ぬときなのだ。