チョコレート

明日からまた消えていく日常。浪費されていく感情が静かに笑っている。

なんかようか。用が無いならきえろよ。消えろよ。お前は要らない。

四角い部屋の中の精神がゆっくり鎌首をもたげて笑う。

 

また笑うのか。そんなにわたしが可笑しいか。

 

ビタービターチョコレートチョコレート。つかベター。モア、ベター。

 

さっくりと歯を立てた。

柔肌はとても良い。だって弾力があって噛まれるとちょろっと動く。柔肌は非常に歯を立てるといった行為に良い。

だが今日齧ったものにはそんな意識は無い。ざっくりと歯に噛み砕かれるのを待つ。もたれていく欠片たちが唾液に混じっている。ふんわりとした牛乳すら裏切っていく硬さで、すこしねちっとした果物が歯に不快だ。

だが決して嫌いではない。味は。食感は途轍もなく不快だが。味は好きだ。味は。

 

適当な朝。自分ひとりだけがのんびりとテーブルについている。

 

今日は何曜日だっけ。

さっき携帯鳴ってた。まだ見ていない。

 

全ての光がゆっくり描かれている。

 

寝室からばたばたとノートを取ってきて紙に書き写し始める。

鉛筆を一本だけ持ってきたので鉛筆一本だけで書くことにした。

きゃーと高い声が聞こえて外に目をやると女子中学生。想像だけの女子中学生がノートに一人増えたりもした。

 

ふとその後携帯をみて、誰かがわたしと何かを約束していたことを知って、ああそうかと思って、そうかともう一度思って、一枚の画用紙をきっかり一時間埋めたあと、鍵と煙草だけポケットに詰めて飛び出した。

 

玄関を飛び出して、一歩とび蹴りをした。知らない女子中学生がきゃははとわたしを見て笑ったけど、にっこり見返して笑ってあげた。