雑草

売っている食材があまりに哀れに見えて悲しむ。今もなお誰かが死んでいると思ったが実は夢見の悪さに悩む自分を確認しただけ。

目に痛いものがある。頭上で輝く太陽が、人の目玉を焼き殺す。起き上がって闇に沈め。例えようのない世界観に限って其の穴は浅くて広いだけ。例え方の無い単語はもう言葉も必要としていないだけ。

買い物袋一杯に哀れを持ち込んで、わたしは両手でソレを持つ。買い物袋に一杯の憐憫を持って、彼はわたしの後ろを歩行する。

なんとなく雑草を踏みたい気分になる。口実を付けて隣を歩きたくなる。なんとなく雑草を踏みつけてしまいたくなる。

わたしの気分最優先。自分の頭を最優先。

何かを壊してしまいたくなる。それでも後ろを歩いて欲しくは無いのだといっているのだ、わたしは。

命を踏みつけにしても、哀愁を最優先したふりをして、その実そんなものを抱えているわたしの隣人になる。愛せといわれなくても愛してしまうのではなかろうか。哀愁を抱える隣人。踏みつける雑草の生命。二文字の言葉を頭に反芻している。例えば、隣を行く人の名前なんかを。