畏まった文字列が頭が良さそうに見えて困ってしまう。

歪んだ視線から漏れてきた変な光が、眩しくて目が潰れそうだ。

 

もしかしたら。

彼女は言わないけれど、もしかしたら彼女は最初の頃はちゃんと食べていて、ちゃんと食べていたのに、物足りなくなって、此れじゃ駄目だと絶望して、最後の最後に選んだ食料が私なら、この身を投げ打ってでも与えてやりたいと思う事も嘘ではない。

 

空腹のかなしみは良く解る。満腹のくるしみは至高であればあるほど更なる物の欲求を増す。

多分、この世に彼女が食べられるものなんて無いのかもしれない。彼女が口に入れるまで、食に値するかなどというのは、きっと解らないのじゃないかと思う。

 

それとも、常に満腹であるという事なら、湯水の様に涌くという事なのだから、嘔吐感に耐えながら生きなくては行けないようなものじゃないかとも思う。

満腹すぎる事は時にくるしみを呼ぶ。だけれど矢張り食べずには生きていられない訳で。でも満腹はくるしい。空腹は厳しい。

結局私など食べ物を食べるに値しないのではないかと思う。食べ物から齎される幸福感が手軽なだけで、そもそも食べたいと思わない時点で、私は食べる資格は無いのだと思う。

でも空腹は厳しい。満腹は苦しい。

空腹は厳しくて、満腹は苦しい。