膨らむ

大きな肩口に額を押し付けると額は温度で温まった。彼よりも本当は自分の体温の方が高い。今しがた人を殴った。血にぬれないまま人を殴った。臭いを懐かしむことはしなくて良い、そして抱き返すこともしなくて良い、出来ることなら、頭を破裂させて欲しい、膨張して、もう生きることも無い程に、いらない脳味噌の破片すら踏み潰して欲しい。未来が絶望に満ちている。泣きたくなる日は来るのに泣けない日常ばかりが溜まっていく。

何れ涙も忘れてしまう事が自分は出来るかもしれない。

それはしたくないのに。だからもう生きる気力も無いのかもしれない頭を破裂させてくれ、緩く、温かく、ゆっくりと、目を瞑るよりも明らかな、酷い、優しさで自分の命を軽くくたばらせてほしい。

できないことを知っているから。

死にたい、でも死にたくは無い。