歪みの国の彼女
彼女の目は爛々と輝き、私の眼では到底叶いそうにも無い。
何時だって彼女は凛々しくって賢くって不器用で小賢しかった。卑怯と呼べるには私は値しないし、彼女の望みをみんな知っていて、みんな各々好き勝手に彼女に戦いて、好き勝手に彼女を崇めていた。
童話のようだと思った。小綺麗で小汚く其れ以外に形容する隙がなかった。
例えるなら、『スカートの裾を摘んだ爪の先が、綺麗だった。例え少しばかりの土に汚れていようとも』というようなもので、元々出来上がっていた文章のように、まさしくその通りだとしても、正確には表現が出来ない。
彼女の物語は彼女の為にある物で、そして自分もそうだと信じていたのに。
裏切られてしまいました。
まるで彼女がそう望んだかの様に仕組まないで下さい。
まるで私が、そう望んだかの様に仕組まないで下さい。
私は何もしていません。
私は何も出来ません。
彼女は全く関わりません、彼女は彼女なので。過ぎる時間と其れ以外に少しの選択肢を分け与えただけ。死なない程度の選択肢を分け与えただけ。
私たちは何も出来ません。自分から水に飛び込めない金魚と同じ様に、時間に任せて死んだり生き延びたり。爪が伸びたり?
私たちは何も知りません。自分から動く事の出来ない物体と同じ様に、誰かに任せて殺したり産みつけたり。噛み付いたり?
泥の人形。箱も開けられない。
土の人形。扉も開けられない。
こんばんわ歪みの国今日も早くから大変なお仕事ですね。
やってくるカーテンコール終幕はまだですか待ち望む結果の先。