鉛色の青春

血の流れる傷口から心臓の音がします。

止まれと思うのですが止まらず、さらに流しているようです。心に正直な身体に生まれてよかったと思いました。

朝起きて見た空は白い穴だらけでした。雲は傷口を塞ぐだけで、何もしてはくれませんでした。空の傷口、胸の傷口、心の傷口、まるで蛇口のようにあふれるのは血と違ってなんだかもっとなくなっては困るもの。

 

目が覚めるということは朝に起きるということです。朝に起きるということは、目が覚めるということですそうたとえどんな場所からでも。一度終わった朝がまたやってくる。わたしを殺そうと必死です。何時も命を削って使っています。

生きる、と言うことは。

 

 

わたしの目が覚めると、少しだけ彼は安堵したように息を吐いて愚痴愚痴と何か言葉と涙を一緒に零していた。

ああくだらない、とわたしは見て笑った。

莫迦じゃないか、と冷淡にも正直に思う。

死んでもあんたにゃ関係ないじゃないか。そう思う。

 

こんな腐ったわたしにそんなふうに優しくしたって、良いことないよ。わたしに優しくしたって、甲斐がないよ。返せるものは何一つ無いよ。本当に。ほんとうの、ほんとうに。

だから莫迦だなあと何度も思って、阿呆だなあと口に出そうと思う。

わたしのことなんて如何でもいいよと思いながら莫迦だなあと言おうと思ったけど、わたしになんか何したって良いこと無いからさあねえちょっと笑ってくれませんか、と思いながら阿呆だなあと言おうと思った。