ふたり

何時から二人に成ったんだろう。二人というのは、合理的ではない数字だ。わたしは何より、向き合うことを恐れているのに。

なあ、こんなはずじゃあなかったのに。二人になんか、成らなければ。

君もわたしを見捨てていれば良かったのに。もし見捨てられていたらわたし、如何成っていたのかな。ああ、もうあの頃を思えばただひたすらに胸が痛い。

 

堅く瞑ったままわたしを見ようとすらしない、瞼の下の眼球に口付ける。起こさないように、口付ける振りをする。

そう、これでいい。見ないでね、わたしのことなんか。

君が、わたしのことなんかもう如何でもいいと言って、わたしを見捨てる日を待ち焦がれているよ。

否。その日が来るのが、とっても怖いんだ。

 

なあ、二人っていうのは、駄目だよなあ。

見捨てても、見捨てられても、残るのは一人だ。